「探査報道」で切り込む公害PFOAと日本のジャーナリズムの今

日時:5月17日(水)19時~20時30分
講師:中川 七海 Tansa記者(なかがわ ななみ)
演題:「探査報道」で切り込む公害PFOAと日本のジャーナリズムの今
参加費:1000円(Tansa発行の公害PFOA冊子を無料贈呈)
Tansaとは:Tansaは探査報道(調査報道)に特化した報道機関です。 スクープを放ちながら、権力や不正に虐げられた人々が置かれた状況を変えることを目的としています。
参加申込:本ホームページの問い合わせからご連絡ください。冊子を事前に郵送するために住所も記載ください。
Zoomリンク:お申込み後にリンクをご案内します。
見逃し配信:日程のご都合が合わない方には見逃し配信がございますので、お申込み時に見逃し配信希望とお伝えください。

講演要旨:
私が手がける報道「公害PFOA」において、大手メディアは加害企業であるダイキン工業の責任を追及しません。その理由は、民間企業からのクレームを恐れる社全体の姿勢や、社内での自身の立場を気にする記者個人の保身です。令和の時代に公害が繰り返される背景に、本来は市民の味方であるマスコミの「傍観」が伴っているのです。
探査報道(調査報道)に特化した報道機関、Tansaでは、事実を掴むために動き回り、事態を変えるために報じることが出来る一方で、日本のジャーナリズムが「瀕死」であることを、身をもって感じるようになりました。記者4年目の私が思う、日本のジャーナリズムの今について、公害PFOAを例にお伝えします。

講師略歴:
1992年、大阪生まれ。大学卒業後、米国に本部を構える世界最大の社会起業家ネットワーク「Ashoka」に就職。
2020年、ジャーナリズムとデザインを学ぶため米国の大学へ進学予定だったが、入学を辞退。
探査報道に特化した非営利独立メディア「Tokyo Investigative Newsroom Tansa」の取材の深さと哲学に共鳴し、Tansaでジャーナリストになる道を選ぶ。
原発事故下の精神科病院で起きた事件の検証報道「双葉病院 置き去り事件」で「ジャーナリズムXアワード大賞」、空調大手・ダイキン工業による大阪での化学物質汚染を描いた「公害PFOA」で、「PEPジャーナリズム大賞」、「メディア・アンビシャス大賞【活字部門】優秀賞」を受賞。

学堂会から
令和の世になっても今回取り上げるPFOA公害のような公害事件が後を絶ちません。
先行公害の水俣、福島原発と今回のPFOA公害に共通するのは2022年2月学堂会講師アイリーン美緒子氏が指摘した「誰も責任を取らない」日本社会の体質です。
尾崎行雄は1947年出版の「民主政治読本」P.150で自身の演説が共和演説であり不敬にあたると批判された際に、演説を聞いていた教育者が誰も自分の意見を言わなかったことを指摘し、P.151で「人間のつとめ」と題して次のように述べています。
「たとえ自分の利益になっても、害になっても、とにかく正邪を判別する良心があれば、自分の見聞した事実を公にして、世のあやまりを正すことが人間のつとめである。しかるに、(中略)、公然立って堂々と正論をはくものは1人もなかった。これは利害を考え、自分の身にめいわくがかかるだろうということをおそれ、いわゆる、さわらぬ神にたたりなしという封建思想に制せられ、正邪をわすれたためである。こうした利害損得のみに執着する日本人の封建思想をたたきなおして、正邪善悪にもとづいて行動する人間をつくることが、民主教育の目的であり、教育者の使命である」
皆様はどのように感じられるでしょうか。
戦後に生まれた私は「封建思想」などと言われるとそのようなものは無いと思っていましたが、学堂会での学びを通じて、今も昔も尾崎の指摘する「封建思想」が大手をふるってこの社会を闊歩している気がしてならなくなってきました。
公害問題は正に利害損得のしがらみの中で誰もが責任を取らず、被害の現実に見て見ぬふりをする、私たちの封建思想がなせる業と言えます。
この度は新進気鋭のジャーナリスト、中川記者から公害PFOAの取材から見えてきた、私たちの中にはびこる、利害関係のしがらみで動きが取れない無責任体質と、その中で子ども達の命と未来のために立ち上がった摂津市の大人たちやTansaの動き等を学びます。
そして、公害PFOAに対してのみに限らず、自分たちの生活に身近な問題に対して主権者として民主主義を維持発展させるために何が出来るのかもご一緒に考えたいと思います。

学堂会代表 太田敦之

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