講師:藤原辰史教授(ふじわら・たつし)
参加費:1000円(学生等無料)
開催形態:Zoom
お申込み:本HPお問合せから(アーカイブ配信あり)
講演要旨:現代史は飢餓の歴史だった。第二次世界大戦も飢餓の戦争だった。そして、飢餓を通じて歴史紛争も起こっている。この発表では、夏に刊行予定の『食権力の現代史』を参考にしながら、ナチスの飢餓計画を中心に、意図的な飢餓がどのような戦後へのインパクトをもったのかについて論じる。国連食糧農業機関(FAO)がなぜ飢餓を止める力をもちえなかったのかについても触れたい。
講師プロフィール:1976年生まれ。京都大学人文科学研究所教授。専門は農業史、食の思想史。生態系の中に組み込まれた人間の在り方から、現代史を再構築する試みを続けている。また、新聞・雑誌のコラムの連載や、「パンデミックを生きる指針」(B面の岩波新書、2020年)や『中学生から知りたいウクライナのこと』(ミシマ社、2021年)、『中学生から知りたいパレスチナのこと』(ミシマ社、2023年)などで時事問題にも積極的に発言をしている。『分解の哲学』(青土社、2019年)でサントリー学芸賞、『給食の歴史』(岩波新書、2018年)で辻静雄食文化賞、『ナチスのキッチン』(共和国、2016年)で河合隼雄学芸賞、また、ナチスの食研究全般に対して日本学術振興会賞を受賞。他にも、『カブラの冬』『食べることとはどういうことか』『歴史の屑拾い』『植物考』など多数。
学堂会から:
尾崎は「民主主義政治読本」(1947年)の1ページ目で以下のように述べました。
尾崎個人にも日本社会にも戦後の飢餓(戦中は勿論ですが)のインパクトが大きかったことが分かります。
「寒さに震える聲、餓を訴える叫びはちまたにみちているのに、日本の政府は何をしているのだ。日本の政党は何をしているのだ。」
それでは、ナチスの「飢餓計画」を現代日本社会の文脈で学ぶ必要があるでしょうか。
私は大いにあると思います。
戦前にナチスやヒットラーを称賛した多くの日本国民の考え方が、現在に至るまで根本的に変わったとは思えないからです。
尾崎は1935年に「政党政治の将来」と題した文章の中で以下のように述べています。
「然し、我が国人は古来武を以て国を建てたと唱へ、その思想感情は頗るドイツ人民に近い。今日にいたるもなほ封建的気習を蝉脱せざる点に於いて特に其の然るを見る。故に現在ドイツに行はれているヒットラー流の獨独裁政治は我が国人に向って多大の誘惑を興へる事と思われる。」(尾崎行雄全集8巻・政党政治の将来 P.280-281)
人権を尊重しない国家権力が、国家や公権力の方が民や人権よりも上位にあると考える国民が多数を占める社会で、食について何をするのでしょうか。
既存の秩序が目の前で大きく揺れ動く今、私達は歴史の教訓から学ぶべき時にいると思います。
皆様のご参加を心からお待ちしております。
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学堂会代表 太田敦之
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