暗闇に灯を

寒中お見舞い申し上げます。本年も学堂会をどうぞよろしくお願い致します。

【明けましておめでとうございます?】
2024年1月1日能登半島で大震災が発生し、現時点(1/15)で221名の方が亡くなったことが確認されています。1月2日、能登半島地震被災者を救助に向かおうとした羽田空港滑走路上の自衛隊機に進入してきた別の航空機が衝突。5名の自衛隊員が殉職しました。地震と事故で亡くなった方々のご冥福を心からお祈りいたします。また、ご家族や関係者の皆様の心痛を想像すると言葉を失います。
年の初めにこのような悲劇を見聞きし、「明けましておめでとうございます」と言って良いのか。多くの方々が思われたのではないでしょうか。このことについて別の角度から考えてみたいと思います。
この世界に戦争がなかった日は、日本に住む多くの方々が考える「戦後」、一日たりともありません。世界では毎日、戦争と飢餓で幼い子どもを含む多くの人々が死んでいます。そのことと、今年の初めに日本で起きたことを考える時、「明けましておめでとうございます」を今までと違う意味で言う必要があるのかもしれません。
まだあなたが「明けましておめでとうございます」と言えるのであれば、この言葉をもう言うことが出来ない人々のくやしさを胸に、この社会を、国を、世界を良くしていくために今何が出来るのか考えてみませんか。そして小さなことから実行してみましょう。このような小さな決意を胸に「明けましておめでとうございます」を言ってみてはどうでしょうか。

【支援を】
学堂会の創設者、原不二子の母、相馬雪香が創設に尽力したAAR Japan(難民を助ける会)が既に能登半島で被災者支援をしています。もしも被災者支援に関する寄附先を決めていない方がいらっしゃれば、是非ご検討ください。
また、学堂会では講演会の文字起こしを、医療的ケアの必要なお子さんのいるご家庭の当事者団体である「NPO法人みかんぐみ」にご協力頂いています。「みかんぐみ」から能登半島地震の被災者支援について、関係する団体の寄附及びボランティア活動の要請を頂きました。是非、こちらもご検討ください。

【忘れられた戦争】
上述の通り世界には戦争がない日がありません。しかも、その戦争の中に世界から注目されるものと、されないものがあります。例えば、「世界から見捨てられた国、ソマリア」の30年以上におよぶ内戦と過去40年で最悪とされる干ばつ。「世界最大の人道的危機」と呼ばれる「イエメン」における内戦。こうした忘れた戦争がある国々で、対話を通じて憎しみの連鎖をほどき平和を創るために活動する日本のNGOが存在します。「アクセプト・インターナショナル」です。
1月特別学堂会(参加費無料)ではアクセプト・インターナショナルから講師を招き、その活動についてお話を伺います。ご参加検討頂ければ幸いです。

【困ったときはお互いさま】
日本にはAAR Japan創設の1970年代にも今も、何故日本で困っている人達がいるのに外国の人達のために活動するのだという質問が出ます。AAR Japanの存在と活動そのものが質問への答えです。支援を始めるところははどこでも良いのです。あるところで困っている人達を助けた経験は自国をはじめ別の場所でも、別の人達へも活用されます。人々の善意は見えない輪となり支援者と被支援者をつなぎ、お互いを助け合うプラットフォームを構築します。それが世界の市民社会のレジリアンスを強化します。「困ったときはお互いさま」なのです。

【暗闇に灯を】
暦の上では一番寒くなると言われる寒中において、寒さと暗さは増すばかりです。それは日本を含む世界の現状のようでもあります。その暗闇に灯を与えるのは、私たち市民一人ひとりの行動だということを、年の始めに改めて確認したいと思います。
学堂会はまだ上述の諸団体のような活動は出来ず、皆様に講演会と情報提供をするのみです。このことには忸怩たる思いがあります。ですが、まずは自分達に出来る事をしていく所存です。本年もご指導、ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い致します。

学堂会代表 太田敦之
2023年1月15日立川にて

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