国際連帯税の歩みと共に、市民・NGO活動の過去そして未来を語る

日時:2025年9月30日(火)19時~
講師:田中徹二(たなか・てつじ)グローバル連帯税フォーラム代表理事
参加費:1000円(学生無料)
開催形態:Zoom
お申込み:本HPお問合せから(アーカイブ配信あり)
講師プロフィール:
・1947年北海道まれ。1968年北海道教育大学札幌分校中退。1976年江戸川区役所入区:労働組合と地域環境リサイクル運動を取り組む
・1994年リオサミット・フォローアップNGO「市民フォーラム2001」設立に参加。2004年NGO「オルタモンド」を立ち上げ、その後国際連帯税に取り組む。2011年「グローバル連帯税フォーラム」を立ち上げ、代表理事に就任。
・2006年「国際連帯税に関するパリ国際会議」にフランス政府から招待される。2019年外務省「SDGsの達成のための新たな資金を考える有識者懇談会」委員。

講演要旨:1992年リオ・サミットから2025年第4回開発資金国際会議まで
日本の市民活動は住民運動として1960年代以降高度成長(のひずみ)とともに活発になりましたが、グローバルな視野を持った政策提言型(アドボカシー型)NGOとしての市民活動が本格的に始まったのは1992年のリオ・サミット(環境と開発に関する国連会議)からです。その後、国際社会は、気候変動などの環境問題、貧困削減などの開発問題に取り組んできました。これを統合させたのが、2015年の「誰一人取り残さない- leave no one behind-」という理念のもとに策定された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(17項目の持続可能な開発目標=SDGs)でした。

ところが、2020年のコロナ禍パンデミックやその後資源価格高騰・米国の高金利などが続き、途上国は債務を増大させ危機的な国を増やしつつあります。途上国でのSDGs達成の困難性は、この債務問題と並んで圧倒的な資金不足にあり、その額は毎年4兆ドルに上ります。援助資金と言えば、政府開発援助(ODA)ですが、2025年の援助国の総額は2000億ドル弱となりそうで、圧倒的に足りません。それをカバーしようというのが国際連帯税です。同税は、グローバリゼーションで受益している企業や個人が広く薄く税負担をしてもらい、その税収を地球規模課題に使用するというスキームです。具体的には、航空券連帯税や金融取引税としてすでにフランスなど一部の国で実施されています。

私がNGO活動を始めたのはリオ・サミットを契機としていますが、2005年ころより国際連帯税を日本でも実現するために活動してきました。ですから、私の活動歴は約30年の年月を数えまして、その間世界と日本の歴史のバイオリズム(のようなもの)を経験してきました。あくまでも市民・NGO活動の立場からですが、そこからの教訓と今後の展望について語ってみたいと思います。具体的には、①リオ・サミットから現在までの歴史の教訓を探ってみる、②国際連帯税構想誕生の経緯と現在の取り組み、③米トランプ政権の国際協力・多国間主義からの離反と市民・NGO活動の展望、等について語ることになります。

学堂会から
7月学堂会では韓国市民社会がいかに民主主義を育み、戒厳令にあたって民主主義を守ってきたかを学びましたが、今回の学堂会では日本の市民社会と国際連帯について学びたいと思います。
特に冷戦終了後に日本の市民社会が国内の公害問題等の経験を経て、グローバルな視点で政策提言を活発化してきたことは、憲政の父・尾崎行雄が「民主政治読本」(1947年)で以下の通り述べた今後の民主教育の在り方と共鳴しているように思えます。
「これまでの日本の教育が国家と個人との道徳の鼓吹に重きをおいて、社会と個人との関係における道徳の鼓吹を怠ったからであろう。国家に対するつとめは教えたが、社会に対するつとめは教えなかったからであろう。その結果、共存・共助・共栄・共楽というような社会道徳が発展しないのであろう。私は国境を限界とする愛国心で行き止まりになっている日本人の道徳観を、もう一歩進めて、国境を超えた人類愛の境地まで伸ばしていくことが、これからの民主教育のありかただと思う。」(P.171)
日本国憲法前文の誓いについて、尾崎は「日本国民が各々己れ自らの良心に誓った誓いばかりでない、世界の平和と人類の福祉の前に誓った厳粛な誓いでなければならぬ。われわれはこの神聖な誓いを断じて守らねばならぬ。」(民主政治読本、P.50)と述べています。日本の市民社会がこの先、世界の平和と人類の福祉を促進するために、どのように国際連帯の歩みを進めていくのか、皆様とご一緒に学べることを楽しみにしています。
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学堂会代表 太田敦之
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