戒厳令を超えて「国民主権政府」の誕生まで ― 韓国の市民が守った民主主義

日時:2025年7月24日(木)19時~
講師:桔川純子先生(きっかわ・じゅんこ)
参加費:1000円(学生無料)
開催形態:Zoom
お申込み:本HPお問合せから(アーカイブ配信あり)
講師プロフィール:大阪外国語大学大学院修了。大学院時代にソウルに留学し、初めてデモ現場に遭遇。2 0 0 6年より韓国の市民参加型シンクタンク「希望製作所」日本支部の設立携わり、日韓の市民交流の活動に取り組む。 現在は、國學院大學、東洋大学などで非常勤講師を務め、韓国で広がっている「公正観光」にも関わっている。共著書に、『危機の時代の市民活動ー日韓「社会的企業」最前線』(東方出版)など。

講演要旨
韓国では、2024年12月3日夜、尹錫悦大統領が非常戒厳令を宣布しました。これを受けて国会は解除要求を議決し、再び独裁政権の時代に戻ってはいけないという市民の危機感は、「民主主義を守れ」と国会前に人々を集結させました。市民たちは尹大統領の弾劾罷免を要求するデモに参加して声をあげ、憲法裁判所は大統領の罷免を決定しました。
今回、特に注目されたのは、多くの若い女性たちが積極的に参加したことです。かつてのろうそくに代わって、K-POPアイドルの応援に使われるペンライトがデモの象徴となったのも印象的でした。また、デモが安全かつ平和に行われ、市民が主役になれるよう、裏方に徹した市民団体の存在も重要な役割を果たしました。
2025年は、日韓国交正常化60周年の年です。隣国の民主主義の危機は、決して対岸の火事ではありません。なぜ尹大統領は戒厳令を宣布したのか、市民たちはいかにしてこの危機を乗り越えたのか。その過程を市民運動の視点からお話ししたいと思います。
そして、経験を持ち寄って、お互いに学び合えるような市民交流の在り方まで、皆さんと一緒に考えていければと思います。

学堂会から
「憲政の父・尾崎行雄」は1947年の著書「民主政治読本」で公共心と共栄共存の思想が日本人に乏しいとして、当時の日本人の植民地等での態度について以下のように書いています。
「日本では相當な紳士面した人間がマンシューやチョーセンやタイワンや占領當時の南方諸地域にゆくと、まるでごろつきのようなまねをするのは、自分の庭をきれいにするが他人の庭なら番人がいなければあらしほうだいにしてもかまわぬという根性だ。」
長いものに巻かれるのに得意な人々は、自分より下と見る他人には横暴になります。これこそ、尾崎の言う日本社会、日本人の持つ「封建思想」の表れですが、特に韓国に対してそれが今でも顕著に表れているように思えます。新しい大統領が誕生する度に大手マスメディアも私達も、新大統領が「親日」か「反日」かをほぼ唯一の判断基準にして、韓国社会の潮流や韓国の人々の動きや考えに蓋をしてしまうのもその一例ではないでしょうか。
学堂会は設立以来、民主主義という価値を共有する隣国、韓国に関する学びを大切にしてきました。なぜなら、共に国民主権、民主主義、人権と平和という価値観を社会の基盤に置く日韓がお互いから学び、より良い社会、北東アジアを築いていく道はないか、という問題意識を持つからです。
この度は韓国の様々な分野にお詳しく、自らも日韓協働を市民レベルで実践されている桔川先生をお招きして、昨年の戒厳令からこの6月の新大統領誕生まで、激動の中で民主主義を自らの手で守り通した韓国市民社会の力について学びます。そして、私達が日本でどのように民主主義を守っていけるのか示唆に富むお話をうかがいます。是非、ご参加ください。

皆様とご一緒に学べることを楽しみにしています。
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学堂会代表 太田敦之
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